賃金不払い残業の解消事例②

こんばんは
水戸市で開業する中小企業診断士社会保険労務士はたけやま事務所 畠山佳樹です。

今日は午前、午後と、とある試験の関係で、茨城大学で試験監督を務めてきました。
今まで、他の人より多めに試験を受けてきましたが(!?)、生まれて初めての試験監督(*^^*)

やってみると、試験の適正な運営のためには、やることがたくさんあって、正直かなり大変でした!
(内心、「暇なのかなぁ?」とか思っていたのですが、全然違いました!)

試験中は他のことが出来ないので、受験される方をじっと見ているのですが、時間ギリギリまで頭を掻きながら考える方、目を閉じて記憶を必死に手繰り寄せようとする方、身振り手振りで何かを思い出そうとする方など、最大限の力を発揮しようという皆さんの頑張り、とても素晴らしかったですね。良い刺激を受けました!

関係者の皆様には貴重な機会をいただき、ありがとうございました。

さて、今日は昨日に引き続き、賃金不払い残業の解消事例を見ていきましょう。

業種:その他事業

賃金不払い残業の状況

◆インターネット上の求人情報等の監視情報(※)を受けて、労基署が立入調査を実施。

※ 厚生労働省は、平成27年度から委託事業により、インターネット上の賃金不払残業などの書き込み等の情報を監視、収集する取組を実施している。労基署は、当該情報に基づき必要な調査等を行うこととしている。

◆会社は、自己申告(労働者が始業・終業時刻をパソコンに入力)により労働時間を管理していたが、自己申告の記録とパソコンのログ記録や入退室記録とのかい離が認められ、また、月末になると一定の時間を超えないよう残業を申告しない状況がうかがわれるなど、賃金不払残業の疑いが認められたため、労働時間の実態調査を行うよう指導。

 

企業が実施した解消策

◆会社は、パソコンのログ記録や入退室記録などを基に労働時間の実態調査を行った上で、不払となっていた割増賃金を支払った。

◆賃金不払残業の解消のために次の取組を実施した。
①会社幹部が出席する会議において、自己申告制の適正な運用について、実際に労働時間を管理する者に説明を行うとともに、当該管理者を通じて全労働者に周知した。

②自己申告とパソコンのログ記録のかい離を自動的に確認できる勤怠管理システムを新たに導入し、月2回、必要な補正を行うようにした。

③労務管理についての課題と改善策を話し合う労使委員会を年2回開催することとした。

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大事なポイントが2つありました。
①厚生労働省は、インターネット上の賃金不払残業などの書き込み等の情報を監視、収集する取組を実施し、それに基づき調査を実施している。

⇨まさか、ネットの書き込みまでチェックしているとは、驚いた方も多いのではないでしょうか?「人の口に戸は立てられない」の諺の通り、自社の不適切な部分が自社内に留まっていたのは遠い昔の話かもしれません。スマホでSNSを通して誰もが情報発信者になれる時代だということを痛感します。

 

②自己申告で残業時間を管理していても、パソコンのログ等の実態と乖離があれば、遡って残業代を支払う必要があること。

⇨たまに、「タイムカードを使うとうまくないので、自己申告制にしています」という事業所もあるようですが、そのようは方便も実態調査の前では意味を成さなくなります。

従業員の勤務時間の一層の徹底が求められます。

明日はこの続きです。

それでは。